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  書店マル秘業務日誌熱烈インタビュー 作家さん直筆メッセージPICKUP著者インタビュー書店員さんおすすめ本コラムコミックエッセイ!「本の妖精 夫久山徳三郎」

三月十一日(晴)

◎午前中より各出版社の営業担当者が続々来店。口を開けば不景気な話ばかりだが、少しでも売上減少に歯止めを掛けようと既刊本の掘り起こしに余念がない。
 営業担当者の思い入れのある本をアピールしている時の顔が好きだ。かなりコアな小説やちっとも売れなかった本の話は特に盛り上がる。本当はこういう営業がしたかったんだなと思うと、新刊書が売れなくなってきたのも悪い事ばかりではない気がする。

三月十四日(晴)

◎ジュンク堂では毎年社員旅行が行われる。三年に一度、二泊三日の豪華旅行となる。今年がその三年目にあたり、なんと行き先は台湾に決定!
 十五年前より旅行幹事の私は、七月の社員旅行に向けて早くも始動。そろそろ若手社員に幹事を引き継いでほしいとめぼしい社員に声を掛け、本日社員旅行会議を開催。一番話が盛り上がったのが、ホテルでの部屋割りだった。

三月十五日(晴)

◎池井戸潤さん期待の文庫『ルーズヴェルト・ゲーム』が発売。池井戸さんといえば泣く子も黙る売れっ子作家。ところが、新刊指定数三百冊に対し、入荷三十冊!
 「誰だこんなことをしたのは!」といやらしく調べてみると、出版社側の入力ミスと判明し、取次から在庫を確保。

三月十八日(曇)

◎どこも四月はあまりいい新刊が出ない。年度末の三月にいい新刊を出し尽くしてしまうのと、今年は消費税がらみからか。ただ四月は本屋大賞の発表があるため例年、昨年の既刊本が売れる。今年の受賞作も我々の期待を裏切らず売れてくれるはず。だが数年前から1位作品しか売れなくなった。1位という言葉だけにしか反応してもらえないのは、なんとも悲しい現実。

三月二十日(曇)

◎四月から入社してくる新入社員研修を行った。私が入社した十八年前は希望ある業界だったが、今はただ厳しいだけの現実。それでもコツコツと専門書を品揃えし、小説を売り続け、目立たない本に光を当てていく使命がある。新入社員たちに少しでもこの精神が伝わればいい。

三月二十四日(晴)

◎先日は今年の新入社員研修を行ったのだが、本日はフロアに入った新人アルバイトの研修。今回の彼は普段は漫画を描きながら、週三日総合格闘技の道場に通っている。多くのアルバイトたちと話してきたが、なぜ書店には変わった趣味・性格の人が集まるのだろうか。未知の世界が覗けて面白いのだけれど、きっと普通の会社では浮いてしまうのではないかと不安になる。

三月二十六日(雨)

◎『スープの国のお姫様』の著者、樋口直哉さんがご来店。思ったより若く、はにかんだ感じの笑顔がかわいらしかった(ごめんなさい)。
 最近は著者さんが書店へ足を運ばれることが多い。書店員としても、著者さんに自ら足を運びサイン本やサイン色紙を書いてもらえると、お客様にアピールできるいい機会なのでありがたい。一人でも多くの読者の方に、面白い小説に出合ってほしいと日々願っている。

 

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