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  書店マル秘業務日誌熱烈インタビュー 作家さん直筆メッセージPICKUP著者インタビュー書店員さんおすすめ本コラムコミックエッセイ!「本の妖精 夫久山徳三郎」

九月九日(晴)

◎当店にて『りぼんにお願い』刊行記念の、川上未映子さんのミニトーク&サイン会。ゲストはアートディレクターの千原徹也さん。本書の装丁を手掛けた千原さんからは、この本の帯を取るとミニスカート姿の川上さんが現れることが披露され、会場内でがさごそと帯はがしの音が! 皆、書店でカバーかけてもらっちゃうし、帯の下には何があるのかって、あまり見る人はいませんよね。皆さんも『りぼんにお願い』を手にとり、川上さんの美しいお御足を見よう!

九月十一日(曇)

◎原稿の神が降りてきて、『プレシャス』12月号掲載ぶんを一気に書きあげる。「流行を本から読み解く」がテーマなのだが、「女性が楽しめる時代小説の時代到来」を切り口に、そのころ映画公開の『利休にたずねよ』(山本兼一著)と『清須会議』(三谷幸喜著)を書く。いままでの時代小説って完全に男の世界で、女は黙って耐えたり尽くしたりが多かったが、この二作品は、男の世界を書いてるものの、男たちの運命を握っているのは実は女なのである。とくに、地味だった利休の奥さんが最後になにをやらかすか、皆さん読んでください。

九月十二日(晴)

◎来週TBSラジオで女優の中嶋朋子さんと対談をするので、堀辰雄の『風立ちぬ』を読み返す。宮崎映画で話題の本だが、小説的な仕掛けがあって、主人公が恋人を「節子」「彼女」「お前」など呼び分けてることに注目。「病人」と呼び出すシーンもあり、それが物語の後半に向かってどんどん増えていく。これはとても怖い小説でもあるのだ。

九月十三日(晴)

◎ちょくちょくお声のかかるフジテレビ『報道2001』撮影収録。今回は五輪決定の話を依頼され、『東京にオリンピックを呼んだ男』(高杉良著)を取り上げる。自分の好みの範疇だけなら絶対に手にとらなかった本を、何かの必要にかられて読むということがあり、そういう本が面白いと助かる。
 本書は日系2世の和田勇さんの評伝で、「戦争で負けた国がオリンピックなんて」という見方を覆し、‘64年の開催地を決める最初の投票で、58票中34票という圧勝で東京五輪決定となった功労者なのだ。彼にたけているのは、他人を説得する力と自分で決断する力。「策を弄する」というより、根っからの人を喜ばせたいタイプ、というのがまた人の上に立つ者にふさわしい。

九月十七日(晴)

◎TBSラジオに行き、11時半から中嶋朋子さんの番組にゲスト出演収録。『風立ちぬ』のPOPを持ってきてください、と言われ、「ラジオなのになぜ!?」と思いつつ、書いていく(番組ブログ用だったことがスタジオで判明)。
 今回は2本録りで、1週目が『風立ちぬ』、2週目が『シャーロック・ホームズの冒険』から「ボヘミアの醜聞」。「きれーい、細ーい」と心の中で叫びながら、中嶋さんの朗読に聞き惚れる。トークはにぎやかに楽しく進行し、あっという間に終了。握手していただいた手は、あたたかかった。

 

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