ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第28回

ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第28回
作家に感想を送るときは、
まずIQを3ぐらいに下げて、
国語の成績を0.2ぐらいにしよう。

よって礼儀は敬語と挨拶ができていれば、もうそれでいいのではないか。

あとは「ブックオフで買いました」とか言わないことだ。
「ネットで読んだ」なども言わない方がいい。無断転載サイトの可能性がある。
何故どうやって読んだかをわざわざ書くのか、こちらとしては謎でしかないため、無邪気を装ったアンチとしか思われない。

肝心の感想だが、相手の気分を害さないことを第一に、考えるならまずIQを3ぐらいに下げて、国語の成績を0.2ぐらいにしよう。
語彙が豊富な方が良い感想が言えるような気がするが、たくさん言葉を知っているということは、いらんことも言いやすいということである。

つまり「よみました、おもしろかったです」で良いのだ。

そんな8月31日にまとめて書いた日記みたいなこと言えない、と思うかもしれないが、作家としてはこれでも嬉しいのである。
もっと好感度を上げたい場合は「買ってよみました、おもしろかったです」と言おう。なんだったら「買いました」だけでも、上がる。
このように、失礼が気になって感想が送れないという人は「買った」「おもしろい」「好き」の3語で挑めば、少なくとも事故は起こらない。

もし、この3語で怒る作家がいるなら、そいつに必要なのは感想ではなく医療である。

だが、どうせならどこが良かったのか「好き」の詳細を細かく伝えたい、とも思うだろうし、作家もその方が、よく読んでくれていて嬉しいと思う。

だが元々、オタクというのは己の好きなものについて語っている時、理性や意識を失いやすい生き物である。
簡単に言えばよく発狂する。

どれだけ好きかを書いている内にヒートアップしてしまい「描かれてないけどあの時あのキャラがこう言っているのが聞こえた」と電波を受信してしまったり「君のあの時の表情最高だったよ」とファンレターが途中からキャラとの対話になってしまう恐れがあるのだ。

よって、熱意のあるファンほど「作者に人が発狂する過程を見せてどうする」「キモイ」と、せっかく書いた感想をお蔵入りにしてしまったりする。

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カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

漫画家、エッセイスト。漫画『クレムリン』でデビュー。 エッセイ作品に『負ける技術』『ブスの本懐』(太田出版)など多数。