ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第28回

ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第28回
作家に感想を送るときは、
まずIQを3ぐらいに下げて、
国語の成績を0.2ぐらいにしよう。

この原稿のみならず、全ての仕事が「書くことがない」から始まるし、書いたところでリツイートは24ぐらいだし誰が読んでいるのかさえ不明だ。
もう何もかも放り投げて、インドかアムステルダム、最近ではカナダあたりに行きたい。

そう思う日が週に12日ぐらいある。ちなみに地名に他意はない。ダーツを投げたらたまたまその3つになっただけだ。

そんな漫画家の自暴自棄を諫め、絶望を週7ぐらいにしてくれるのが、口座に振り込まれる3桁以上の数字、そして読者の声である。
逆に3桁未満はないだろうと思うかもしれないが、電子書籍の印税が7円振り込まれたりもするのだ。

前から、クリエイターにとって、感想や応援は励みであり、いくらもう描きたくないとおむずがっていても、一言「あなたの絵SSS(スーパーシコシコ)です」と言われれば、調子に乗ってまた描く。
エロ漫画のツンデレヒロインにすら「もっと自分を持て」と諭されるぐらいチョロい生き物なのである。
逆に応援がないと打ち切りにもなりやすいし、アマチュア作家も心が折れて、いとも容易く描くのをやめてしまう。

よって、末永く続いて欲しいと願う作品や、描き続けてほしい作家は積極的に応援したり感想を送ったりするべきだ、と再三言ってきた。

しかし、私自身が好きな作品を描いている作家や神絵師に、感想を送っているか、というと送っていない。
おもしろかったという感想は独り言としてつぶやくし、虚空に向かって「はあ…好き」ということは多いが、作者のアカウントなどに直接送ったことはない。

直接送らなくてもエゴサに熱心な作家なら自分で見つけて勝手に励まされるのだが、誰しも私のように1日68時間エゴサをやっているわけではない。
やはり、直接リプライを送ったり、メールや手紙を出す方が確実である。

ならば何故送らないのか、というと、この世には「感想がもらえない悩み」もあるが「感想の書き方がわからない悩み」も存在するのだ。
そして悩んでいる内に、連載が終わったり、描くのをやめられてしまったりするという悲劇が各地で起こっているのである。
そういう悲劇を防ぐため、感想をもらう側、そして何より送る側として、正しいファンとしての感想を考えてみたい。

大体「感想の送り方がわからない」と悩んでいる人は大体真面目で礼儀を重んじる人だったりする。
自分の感想で相手が気分を害してしまうかもしれない、と思うから送れないのだ。
私も、推しに対しては「恐れ多い」と感じてしまう崇拝派なのでなかなか声をかけることが出来ない。

しかし礼儀を重んじるあまり「FF外から失礼します」といった、人によっては「それいるか?」「ファイナルファンタジーがどうした?」「ファイファンだろ!」と感じてしまう、いらぬ一言を挟んでしまったりもする。

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カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

漫画家、エッセイスト。漫画『クレムリン』でデビュー。 エッセイ作品に『負ける技術』『ブスの本懐』(太田出版)など多数。