小説丸
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なんと物語の主人公・津田伸一さんからメッセージが届きました!

なんと物語の主人公・津田伸一さんからメッセージが届きました! 正直言って、ただ日本語が読めるってだけのひとに読んでほしくない。その程度じゃ、わからないと思うんだ、この小説の面白さは。――津田伸一

「ちょ、ちょっと待ってください、津田さん!」

「ん?」

「せっかく『ハトゲキ』が文庫になるっていうのに、困りますよ、こんな上から目線じゃ」

「誰だよ、きみは」

「担当です。こないだ自己紹介したばっかりですよ」

「編集者か。男の編集者なんてこの世に必要か? 頼りになるのは、やっぱり女だ。鳥飼くんはどうした?」

「産休に入っています」

「ほえ」

「それも、こないだお話ししましたけど」

「旦那の子か? 池田高校の同級生のあの旦那か?」

「当然でしょう」

「で?」

「で? って。ですから、こんな上から目線じゃ読者に見向きもされませんよ」

「そんなことないさ。しっかり日本語の読める読者ならついてきてくれるよ」

「でも」

「な? 小説家の言うことを信用できずに、編集者がつとまるのか。小説家でなかったら、何を信じて本を編集してるんだ? 会社か? 金か? やっぱり女か? いや、それはもういい。じゃあ、ためしにきみがこれ書き直してみるか?」

「は、はい」

正直言って、日本語が少しでも読めるひと、みなさんに読んでほしい。わかるわかる! ほんと、誰にでもよくわかるんだよなあ、この小説の面白さ。――津田伸一

物語

小さな街で「女優俱楽部」の送迎ドライバーとして、

その日暮らしを続ける津田伸一は、

かつては直木賞も受賞した作家だった。

そんな男のもとに三千万円を超える現金が転がりこむ。

ところが喜びも束の間、

思いもよらない事実が判明した。

「あんたが使ったのは偽の一万円札だったんだよ」

偽札の動向には、

一年前に家族三人が失踪した事件をはじめ、

街で起きる騒ぎに必ず関わっている

裏社会の“あのひと”も目を光らせているという。


数多の作家をも魅了した、

現代小説の名手・佐藤正午渾身の最高到達点!


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「ほぼ日刊イトイ新聞」小説を書くということ。佐藤正午+糸井重里対談
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