◎編集者コラム◎

『都立水商1年A組』室積 光


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 ドラマ化が決定した室積光さんのデビュー作、『都立水商!』18年ぶりの続編である。

 18年前、私は宣伝部で単行本の担当だった。赤い水玉模様にキューピッドがあしらわれたかわいらしい装丁の『都立水商!』は、日本で初めて新宿の歌舞伎町に水商売に関する専門教育を行う都立高校ができたという、ふざけた設定にもかかわらず泣ける話で、「本の雑誌」で北上次郎さんが取り上げてくださったりもした。あまりないことだから憶えているのだが、中目黒のバーで、見ず知らずの男が水商の話をしていたのを又聞して、「売れる!」と確信したのだった。「この学校に行くにはどうすればよいですか?」という問い合わせが営業にかかってきたという、嘘のような本当の話まである。

 おかげさまでコミック化され、猪熊しのぶさんが作画を担当したコミック版は、累計で250万部を超える大ベストセラーとなった。

 その8年後、室積さんの担当編集者となるわけだが、その頃から続編の構想はあった。しかし、『史上最強の内閣』のヒットを受け、シリーズ化構想は棚上げすることにしたのだった。ところが昨年、転機が訪れる。ドラマ化の企画がすすんでいると室積さんから連絡があったのだ。この波に乗らない手はない。続編の執筆をお願いした。

 あがってきた原稿は、8年前の構想よりもたくましくなっていた。いかがわしい高校を舞台にしているのに、とてもさわやかな印象である。登場人物たちが屈託や悩みを抱えているのだが、その弱さを理解してくれる教師陣や先輩たちのまなざしが徹底的にやさしいのだ。それはすなわち、室積さんの気質でもあると思う。さすがは、「金八先生」に体育教師役で出演していた役者さんだ。

 読み終えて、室積さんに感想を伝える第一声は、「こんな学校あったら、自分が通いたいですよ」であったことも記しておきたい。

 皆さんの入学希望を待っている。入学資格は、本書を読んでくれることだ。

──『都立水商1年A組』担当者より
 
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