◎編集者コラム◎

『ザ・プロフェッサー』ロバート・ベイリー 訳/吉野弘人


ザ・プロフェッサー 写真


「自分がいかにこの作品に引き込まれたのか。読み終えて、思わずカミさんにストーリーを話したくなりました。誰かに言わずにはいられなくなったからです。」

 ジャーナリストの柳澤秀夫さんが『ザ・プロフェッサー』に寄せてくれた推薦文です。柳澤さんといえば、昨秋までNHKの人気番組『あさイチ』MCを務め、最近はテレビ朝日『ワイド!スクランブル』のコメンテーターとしてお茶の間でもお馴染みですが、かつては海外特派員としてカンボジア内戦や湾岸戦争を現地で取材した「伝説の記者」でもあります。そんな柳澤さんにこの小説はどう映るだろう……と、推薦文を依頼してから緊張して待つこと数日。この言葉と共に「読後、高揚して、本当にカミさんにストーリーを話して聞かせました」というメッセージを読んだ時には、思わず「やった!!」と小さくガッツポーズ。自分が読後に感じた高揚感を共有してもらえたようで嬉しかったのです。

 本書の舞台は米国の南部アラバマ州。2歳の女の子と両親が犠牲になったトラック事故の真相を法廷で明らかにしようと奮闘する、「老いぼれ」のアラバマ大学法学教授と、彼の教え子で"瞬間湯沸かし器"な新人弁護士を描く法廷スリラーです。著者もアラバマ大ロースクールを卒業、地元で弁護士として活躍した後に本作で作家デビューしたという経歴の持ち主。

 無名の新人作家の小説ではありますが、さすが元弁護士、法廷シーンの息詰まる攻防はリアリティたっぷりで圧倒されます。次は「敵」がどう出てくるのか、「味方」は裏切るのか、こんな手詰まりになっちゃって次はどうするのよ!? とハラハラドキドキ、ぐいぐい。「開いたら結末まで一気読み」を地で行く本です。さらに、読後じーんとして、本当に誰かにあらすじを話したくなってしまう。翻訳者・吉野弘人さんのあとがきには、〈著者は自らのホームページで、よいスリラーの条件は"エモーショナル・フック(感情に訴える仕掛け)"だと言って〉おり、本書でも〈この"エモい仕掛け"がふんだんにほどこされ〉、読者は〈作者の用意した仕掛けにまんまとひっかかってしまう〉とありますが、私自身、そのエモい仕掛けにすっかりやられてしまいました。

 中でも私にとって最も「エモ」かったのは、主人公の教授トムと、その愛犬ブルドッグ・ムッソの「老いぼれコンビ」でした。順風満帆な人生から一転、70歳を前に挫折の連続で絶望の淵に立たされたトムが、40年を経て「現場」に戻る決意をするエピソードなど、「著者の思うツボ」だとわかっていても涙腺が……。

 柳澤さんは、こんな文章も寄せて下さっています。

「60代半ばをすぎ、これから何ができるのか? と自問するとき、『あきらめるな。まだ戦えるぞ!』と背中を押してくれる小説です。」

 人生あきらめかけた方も、そうでない方も、ぜひ手に取って読んで見てください。きっと、ドキドキハラハラ、じーんとした後、「明日も頑張ろう」と感じてもらえると思います!

──『ザ・プロフェッサー』担当者より
 
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