国会議員基礎テスト
第二十三回

 問八 議員の不祥事について具体例をあげよ 

 自由民権党員である地方議員の不祥事が発覚した。A県の県議会議員が、詐欺と虚偽有印公文書作成・同行使の罪に問われたのだ。 

 政務活動費で、近くにある温泉に、年に二百回近く日帰り出張に行っていたり、切手代に百万近く使ったりと、不自然な支出ばかりが収支報告書に記載されていた。政務活動費を私的に流用したのは、誰の目から見ても明らかだった。 

 これだけなら、通常の不祥事として、それほど話題にはならなかっただろうが、この県議、釈明会見の場で、なんと、わんわん泣き出したのだ。 

 釈明は支離滅裂だったが、なんとか翻訳すると、次の通りとなる。

「自分は、四回の落選を経験し、やっとのことで県会議員になれたのに、こんなことで面目を失うなんて、バカげている。些末なことで突っ込むより、もっと大局を見てほしい。これからの政治活動を温かく見守ってもらいたい」 

 泣きながら何を戯言をいってるんだと、あちこちから非難の声が上がった。これを契機に、政務活動費のチェックが厳しくなり、もう一人の県議会議員がやり玉に挙げられた。 

 六十八歳のこの自由民権党議員も、政務活動費の使途が極めて不透明であった。真相を糺すため、テレビリポーターが直撃取材を敢行すると、なんと議員は取材クルーを振り切って遁走を始めた。

「議員、なぜ逃げるのですか? 疚しいところがあるのですか? きちんと説明してください!」 

 リポーターが息を弾ませながら追いかけるも、議員は年の割になかなか俊足だった。むろんこの様子は、全国ネットで放映されたから、逃げるなど逆効果だ。 

 タイトミニのスーツを着こみ、ヒールを履いた若い女性リポーターと、彼女の祖父くらいの年齢の県会議員の追いかけっこは、面白映像として配信され、全世界の笑い物となった。 

 最後には力尽きてぶっ倒れた議員は、救急車で緊急搬送され、未だ入院中だ。おそらく、嵐が過ぎ去るのを、ひたすら病床で待つ腹積もりなのだろう。 

 さらに追い打ちをかけるように、今度は自由民権党の都議会議員のセクハラ発言が、問題となった。 

 ある独身女性議員が少子高齢化問題で発言中、「まだ彼氏ができないのか?」「早く結婚して子どもを産め」「女は子どもを産んでこそ一人前」などと、フェミニスト団体が聞いたら憤死するようなヤジを飛ばしたというのだ。 

 政治家、特に与党・自由民権党の議員に対する不信感は、一連の出来事により、益々高まりを見せた。 

 そして、秋には臨時国会が開催された。 

 消費税やTPP問題などが主な議題だ。野党にとっては、閉会中に行われた内閣改造で、新任の大臣となった政治家たちのスキャンダルを追及していく勝負所だった。 

 ある大臣は、以前選挙区で、自分の写真がプリントされた団扇を配ったことを追及された。これは、立派な公職選挙法違反である。 

 もう一人の大臣は、選挙区では原則禁じられている香典を支払った責任を問われた。 

 さらにもう一人は、国の補助金を受けた企業から献金を受け取ったことを攻撃された。政治資金規正法では、試験研究や調査に関連するものなどを除いて、国の補助金を受けた企業が、補助金交付決定通知から一年間、献金することを禁じている。 

 野党第一党で、是非とも政権を奪取したい民政党は、これら新任大臣の不祥事を追及したが、あまり世間の耳目を集められなかった。 

 しかし、本当のインパクトは、まだこれからだったのだ。

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